日本財団 図書館


 

もっと言えば、関係者の方がいらっしゃるので怒られるかもしれませんが、そうしたボランティア活動はボランティアをやっている人の自己満足になっているだけで、世の中に価値のあるサービスを提供することになっていないのではないか、ということをボランティアの側は自分たちの活動を反省してみる必要があるわけです。力強いボランティア活動の団体ができないかぎり、自治体はパートナーシップとして応援するすることができません。月に1回程度のサービスしかしない団体であれば、社協を通じて、月に5万円程度の活動費が出てくる程度の支援しかできないのです。
自治体とボランティア団体とのパートナーシップという場合にはボランティアの側に非常に大きな責任が出てくることを覚悟しなければなりません。そういった力強いボランティアを作ることが、自治体とボランティアのパートナーシップの中心命題の1つであるわけです。この度、アメリカからお招きしたアナ・ミヤレスさんは私が今申し上げましたような自主創造的なボランティア活動をアメリカで実践されている優れたリーダーです。つまり、自立的、自主的なボランティア活動・問題解決型のボランティア活動をしようと思えば、モノ・カネ・情報の提供できるヒトを集められるリーダーを育てられるボランティア団体になる必要があります。そういう意味ではタイムダラー方式(時間預託)で問題解決型、つまり自主的なボランティア団体を作るための工夫がみられます。

 

●アメリカにおけるボランティアの活用法

 

アメリカも福祉政策がどんどん変わってきており、簡単に申し上げますとこれまでの福祉の切り捨てを行ってきています。例えば生活保護をこれまで必要な期間はずっと認めていたのですが、クリントン大統領が5年間で切るといったことを発表しました。このように福祉サービスに対する予算を行政側が削ってきています。アメリカの場合は、予算は削るけれども、少なくなった予算の中でいかに福祉水準を下げないかをもう一方できちんと考えています。ここでその力になっているのがタイムダラーのボランティアグループで、簡単に言えば今まで100かけていた予算を50しか出せない。その50で100に値するカバーをしなければいけないわけですから、少ない予算で市民サービスをするというときにボランティアを上手く活用しています。従ってアメリカではボランティア団体さえそれなりの意識性があれば自治体とのパートナーシップはどこでも可能です。
アナ・ミヤレスさんの話に出るかどうかはわかりませんが、アメリカ・ウイスコンシン州ではタイムダラーボランティアと州の自治体が提携した新しいプログラムが出来ています。そういった事例を学びつつ、行政も変わらなければなりません。国のレベルではNPO法においてボランティア団体にせめて法人格を与えるということをしなくてはいけません。そしてボランティアの側は自立して自主的に自分たちの力をどんどん大きくしていくことが必要です。その結果、公・共・私の「共」を自治体とボランティアが共同で支えていくような構図になっていかなくてはいけないと思います。その事例として、後でアナ・ミヤレスさんのほうから報告があると思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION